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2016/03/24

マーチNISMO S 試乗レポート Ⅱ

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久しぶりに日産から登場した走れるマーチ。イメージはまさにホットハッチ。
もっと言うなら、80年代のボーイズレーサーというところだろう。

スペック的には1600㏄のスイフトスポーツに対し、排気量、最大出力ともにビハインドを背負っている。ところが、走り出すとこれが意外なほど元気なのだ。

■中低速の太いトルクで元気な走り

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日産の狙い通り、中低速域のトルクとレスポンスの良さ、
そして実測1トンを切る体重で、キビキビと元気よく走ってくれる。

正直、1500㏄のノンターボエンジンなので期待はしていなかったが、
最新のノンターボは街中でも十分にトルクフルでストレスを感じさせない。

じつは個人的には、エンジンサウンドも気に入っている。

スポーツマフラーの排気音というよりは、吸気音の味付けがなされている印象で、
高いギヤで負荷をかけて加速するようなシーンでは、わずかにソレックス的な吸気音を奏でる。

これが古い世代のクルマ好きにはたまらない。
ターボとは異なる、自然吸気エンジンの心地良さが確かに存在するのだ。

そのフィールは4000回転付近まではトルク感のある心地良い加速を見せてくれるが、
5000回転からREVリミットまでは、正直、少々かったるいのが残念。

4000回転までのグイグイ引っ張る感覚は薄まり、惰性で回っている印象なのだ。
このあたりは、後々、チューニングパーツが出揃えば解決しそうな部分と思われる。

日産としては高回転域を多用するよりはトルクフルな扱い安さを狙った結果だろう。
つぎに、駆動系を見てみよう。

■電子スロットルの制御が心地良い

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クラッチのミートポイントは上の方にあるため、踵をフロアに置いたままミートはしにくい。坂道発進などは慣れを要するかもしれない。

もう少し、フロア側にあると良いのだが。

そして発進時の半クラッチ操作では、エンジンが揺すられるような振動が出ることがある。後にわかったのだが、これはエンジンマウントの問題のようだ。

余談だが、NISMO製の強化マウントに変更すれば、常にスムーズな発進が可能になる。反面、わずかな振動や音が室内に入りやすくなるがオススメのパーツだ。

その高めのミートポイントのクラッチを操作してスタート。
1速、2速、3速と、シフトアップ時のエンジン回転の落ち方が絶妙だ。

シフトアップすると調度良い位置まで回転が落ちているのでスムーズなシフトチェンジができる。

つまり電子スロットルの制御もかなり煮詰めたような印象だ。俗に言う早開き感覚も無く自然。

ヒール&トゥを行なっても、自然な感じでエンジン回転が吹け上がってくれるのでやりやすい。

先代のE11型ノートのマニュアル車では、空ぶかしのレスポンスが悪く、非常にやりにくかった。

やはり電子スロットルの制御を煮詰めたなぁと感心した。
この辺りは、走り込むほどにセッティングが決まってるのだろう。

各ギヤの守備範囲は標準的な量産車のイメージでクロスミッションの雰囲気はない。
個人的には2-3-4速がクロスしていれば、ワインディングでさらに楽しいだろうと思った。

■ノーマルサスでも充分にスポーツできる

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つぎにサスペンションだが、NISMOの名のとおり、かなりスポーティな味付けだ。
標準装着のタイヤ205/45R16のブリヂストンPOTENZA RE11というちょっと前のスポーツタイヤ。

グリップ性能も高いので、その性能に負けないような味付けをなされたサスペンションと言える。

車高も標準のマーチよりはダウンしており最低地上高は120㎜と記載されている。

ダンパーは標準のマーチと同じ物を使用しているのか、かなり細いダンパーだった。
その中で、可能な限りの減衰力を絞り出しているのだろう。

その乗り心地は、ひと昔前のスポーツダンパー+ローダウンスプリングの雰囲気がある。

したがって、ノーマルでもワインディングやサーキットを楽しむことができる。

さて、これを固いと感じるか否かは、意見の別れるところだろう。
ひとつ、ハッキリしているのは「乗り心地が良い」とは言いにくい。

■高いボディ剛性はGT-Rのようだ
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メーカーにしかできないチューニングのひとつに、効率的なボディ補強がある。
マーチのボディには合計4ヵ所の補強パーツが加えられている。

軽量な車体を生かす、効率的な補強で剛性の高さを非常に感じるボディだ。
夜、乗っているとドイツ車にでも乗っているような錯覚さえ覚える。

そして何よりも、205/45R16サイズのPOTENZA RE11という高性能タイヤを履きこなしている。

ボディやサスペンションがタイヤに負けている印象は皆無だ。

この点は特筆に値するだろう。
むしろ、さらなる高性能タイヤすら許容する懐の深さを感じさせるボディなのだ。

■ブレーキも抜かり無!
ノーマルブレーキで、スポーティな走りをすると、じつに頼りないクルマが多い。
だが、マーチNISMO Sのブレーキはミニサーキットでも不足を感じさせないレベル。

耐フェード性、コントロール性ともに、ノーマルサスペンションではまったく問題ない。

しかし、サスペンションを剛性のの高い倒立ストラットなどに交換した場合は別だ。当サイトのマーチでは、剛性が上がったことで、初期のコントロール性が悪くなった。

このため、初期のコントロール性の高いパッドに変更することで対処したのだ。

ちになみに、ノーマルパッドでは街中で、わずかに鳴きが発生することがあった。
純正パッドとはいえ、かなりスポーティなパッドが採用されたようだ。

■ワインディングではニュートラルステア

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高性能タイヤと高いボディ剛性、そして締め上げられたサスペンションにより
ノーマルでもコーナーを楽しみながら走れる。

リヤが滑り出すような気配は微塵も感じられず、かといってフロントが逃げる
アンダーステアも感じられない。

ただ、上りのタイトコーナーではイン側のタイヤの空転が大きく感じた。
何はともあれ、LSDを装着することが、マーチNISMO Sを楽しむ第1歩だろう。

パワー的には、十分に楽しめるレベルでカタログスペック以上の走りを感じる。
逆に、このくらいのパワーを乗りこなせるか?と問われているようだ。

一方、軽量な車体のおかげで下りは得意中の得意といえるだろう。
ワインディングでは軽量コンパクトなマーチNISMO Sのアドバンテージは大きい。

■サーキットではLSDが必需品

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サーキットを走りなれたドライバーは別にして、ノーマルでも十分に楽しめる。
ただし、コーナー・イン側タイヤの空転によりストレスを感じるはずだ。

やはりLSDの装着は必須項目といえるだろう。
ノーマルでも、そこそこ高いレベルにあるので、チューニングの手始めは

空転を抑えてくれるLSDの装着ではないだろうか。これだけでも、かなりタイムアップする。
クルマに慣れてからサスペンションやタイヤをグレードアップすればいいだろう。

その点において、マーチNISMO Sはチューニングショップやパーツメーカー泣かせの1台だ。

逆にユーザーにとってはコストパフォーマンスが高いクルマではないだろうか。

■初心者こそ、こんなクルマに乗るべきだ

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乗り心地は少々固いが、とにかく運転しやすいのがマーチNISMO S。
ハンドリング、エンジン、ブレーキ、どれもがドライバーのイメージ通りに機能してくれる。

加えて、エントリカーのマーチだけに運転席からの視界も良く、車両感覚を掴みやすい。

コンパクトなだけに、ドライバーとクルマが一体になった感覚は安心感がたかいのだ。

クルマで遊んできた世代はもちろん、免許取り立てのお子さんにもうってつけの1台だ。

クルマ好きにとっては、意味もなく乗って走りたくなる久しぶりに楽しめるクルマだと思う。

ひとつ言い忘れたのがシートだ。じつに具合が良く、長距離を走っても腰や尻が痛くならない。それでいて、コーナーではサイドのサポートがシッカリしている。