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2016/06/24

ノートNISMO S試乗レポートⅡ

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先に登場したマーチNISMO Sのアニキ分に当たるノートNISMO S。1600㏄のHR16DEを搭載し、クラストップの140psを絞り出す。後発だけにサスペンションの味付けなど全体的にベース車の車格のとおり、マーチよりも高級感ある走りとなっている。スペック的にもスイフトスポーツの直接のライバルとなるのがノートNISMO Sだろう。

ノートNISMO Sは、コックピットに座った瞬間から、マーチNISMO Sとは異なる高級感に満ち溢れている。なんと言っても、室内の広さを感じるのだ。とくに左サイドのドアミラーを見た時の距離感、バックしようと左後ろを振り向いた瞬間の後席までの距離感などがマーチに比べれば「広いなー」と思わずつぶやきたくなる。全長で320㎜、ホイールベースで150㎜長くなったノートの居住空間は、走りの楽しさを捨てきれないお父さんのファミリーユースにはピッタリかもしれない。
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■マーチ並みの中低速トルク+高回転の伸び

1600㏄、140psのエンジンは、このテンロククラスでトップの数値と言える。開発陣もマーチNISMO Sの中低速トルクはそのままに、高回転域の伸び感を補強したというだけあって、マーチに比べると明らかに高回転域まで使える。ちなみにマーチは5000rpm以上が惰性で回っているような印象だが、ノートの1600㏄エンジンは7000rpmまでパワー感を持続している。反面、高回転域でパンチが出たため、印象としてはマーチほど中低速トルクが無いように感じるが、データを見る限りそのようなことはない。その加速フィールは、マーチNISMO Sよりもスイフトスポーツに近い印象だ。また、エンジン音もスポーティ。排気音よりも吸気音が奏でるサウンドはドライバーをその気にさせてくれる。ノートのエンジンは、エアクリーナボックスから先がかなり太いパイプになっている。このため、心地よい吸気音を生み出しているようだ。
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日産自動車の開発陣によれば、「カタログなどの最大パワーを点とすれば、トルクやレスポンスは線。そして心地よい吸気音や排気音までも含めた総合的な部分、すなわち面。すべてを満たした『トータルバランス快速チューン』を具現化した」というが、実際、その通りの仕上がりとなっていることを実感する。

■高級感のあるシフトフィール

ノートNISMO Sのクラッチフィールは、基本的にマーチNISMO Sと同じだが、その踏力はわずかに重い。クラッチペダルのレバー比が異なるためだ。重いといっても、かつての強化クラッチの重さではなく、しっかり感のある重さというフィールだ。そのクラッチペダルを踏み込み1速にシフトすると、マーチNISMO Sとは大きく異なるフィーリングに驚く。各ギヤのシフトフィールが高級感あるものになっていた。これは、マーチともども、シフトレバーの動きをワイヤーを使ってトランスミッション側のレバーに伝えているのだが、ノートNISMO Sはトランスミッション側のレバーとワイヤーの接続部にマスダンパーが装着されていることによるようだ。さて、タイヤ外径を含めたギヤ比は、1速から3速まではマーチNISMO Sと同じだが、ノートNISMO Sでは4速、5速がクロスしている。つまり、3速→4速→5速がクロスタイプとなっているのだ。このため、5速100㎞/hの高速巡航ではマーチNISMO Sよりも回転数が高くなっている。ただ、筑波2000や富士スピードウェイ、鈴鹿サーキットなどの本格的サーキットでは3,4,5速のクロスミッションがかなり有効になるだろう。
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■フラットでしなやかな乗り味
走りだして最初に感じるのは、マーチNISMO Sに比べて乗り心地が良くなっている点だ。もちろん、実測で90㎏近く重い車両重量も効いているであろうし、2600㎜と長いホイールベースの影響もあるだろう。粗れた路面を走ってもキャビンはフラットで不快な動きは少ない。ひとつには後発のNISMOロードカーだけにサスペンションのセットアップもこなれた感がある。

実際にサスペンションを見てみると、ノートNISMO Sに採用されたダンパーは、マーチNISMO Sのそれよりもひとまわり太い。マーチNISMO Sは細いダンパーを目一杯、減衰力を高めているような印象で、ひとことで言えばパッツン・パッツンな感じだ。対してノートNISMO Sはダンパー自体に容量があるような乗り味だ。
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また、純正で装着されているタイヤは205/45R17サイズのブリヂストンPOTENZA S007という見た目にもヤル気満々のタイヤだ。いかにもハイグリップを生みそうなトレッドデザインからは、ハードな乗り心地をイメージするが、実際は意外なほどしっとりとした乗り心地なのだ。とはいえ、それはマーチNISMO Sの乗り心地と比較してのこと。
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走りの良さはマーチNISMO Sと共通だが、ノートNISMO Sの乗り味は大人のフィーリングに仕上がっていると言えるだろう。とりあえず、サーキットやワインディングを楽しむには十分なものとなっている。

■さらに進化したボディ補強
マーチNISMO Sが4ヵ所のボディ補強を行なっているのに対し、ノートNISMO Sではさらに1ヵ所追加されている。具体的には、リアトーションビームの左右ボディ側マウントと車体を繋ぐバーが追加されている。実際に試乗するとボディ剛性の高さはホイールベースの短いマーチ以上に感じられる。重量増を押さえたメーカーならではの効率的補強がなされているのだ。
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■4輪ディスクブレーキ
マーチNISMO Sのリヤブレーキはドラム式だが、ノートNISMO Sでは4輪ディスクブレーキが採用された。これは大きなトピックと言えるだろう。4輪ディスク化に伴い、ブレーキマスターシリンダーも変更されている。もちろん、ABSの制御もマーチNISMO Sとはことなり、よりスポーツ走行でも使いやすいものとなっていた。ノーマルでサーキットを走るなら、ブレーキパッドもこのままでイケルほどの性能を持っているのもマーチNISMO Sと同じである。

■ワインディングでも生きるクロスミッション
3速以上を多用するワインディングなら、クロスしたミッションの恩恵を堪能できるはずだ。具体的には、箱根のターンパイクの上り。マーチNISMO Sでは3速ではレブに当たってしまうので4速にシフトアップすると加速しない。そんなシチュエーションでも、ノートNISMO Sは高回転域でもパワフルなエンジンとクロスしたギヤ比のおかげで有効な加速力が得られることは間違いない。コーナーでもしなやかでスポーティーな走りを堪能できる。ただし、上り区間ではコーナーイン側のタイヤが空転する傾向にあった。
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■サーキットで感じるボディ剛性
一方、サーキットでは高回転域まで使えるエンジン特性が嬉しい。クラストップのエンジンパワーはダテではないことを感じさせてくれる。ボディ剛性もマーチNISMO S以上に高さを感じる。またブレーキだが、とくにABSの制御がマーチNISMO Sと異なり、不用意な介入も少なく好ましいセッティングになっている。ただし、コーナーイン側の内輪空転はマーチNISMO S以上に大きく、気になるものだった。軽量な車体とショートホイールベースを生かしたマーチのクイックな走りに対し、ノートNISMO Sはゆったりとした走りが印象的で、ミニサーキットよりは本格的なレーシングコースの方がマッチしそうな印象だった。いずれにしてもサーキットやワインディングを楽しむならLSDは必需品だ。
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■ファミリーユースにも使える走れるヤツ

後席の居住性や荷物の積載性能などは、ベースのノートの評判は高い。そうしたユーティリティはそのままに、走りの楽しさを加味したのがノートNISMO Sと言えよう。走りを楽しみたいファミリーユーザーにはうってつけの1台ではないだろうか。かつて走っていたリターンドライバーにもオススメの1台と言えよう。マーチNISMO Sでは、コストの関係からかロードノイズやタイヤが拾った小石がボディに当たる音がする。しかし、ノートNISMO Sはタイヤハウス内のチッピング処理などもシッカリと行なわれているので、乗り心地も良く静か。そして居住性やユーティリティに優れているのだ。
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標準装備のシートはジュークNISMOやマーチNISMOと同じタイプ。見た目以上にコーナーでのホールド性も高く、なかなか優れた純正シートだが、ノートNISMO SではオプションでRECAROのスポーツシートを選ぶこともできる。さらにスポーティーな印象を求めたいオーナーにはオススメのオプションと言えよう。
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